電子帳簿保存法とは — 建設業に何が関係するのか
電子帳簿保存法(電帳法)は、帳簿や書類を電子データで保存するルールを定めた法律です。2024年1月から電子取引データの電子保存が完全義務化されました。
メールやクラウドで受け取った請求書・見積書・注文書は、紙に印刷して保存するのではなく電子データのまま保存しなければなりません。これは全ての事業者に適用されます。
建設業で特に影響が大きい書類
| 書類 | よくある受取方法 | 電子保存の対象? |
|---|---|---|
| 元請けからの注文書(メール添付) | メール | 対象 |
| 下請けからの請求書(PDF) | メール・クラウド | 対象 |
| 資材メーカーの見積書(Web) | Webダウンロード | 対象 |
| 通販サイトの領収書 | Web画面 | 対象 |
| FAXで受け取った注文書 | FAX(紙) | 対象外(紙保存でOK) |
| 手渡しの領収書 | 紙 | 対象外(紙保存でOK) |
ポイント: 「電子で受け取ったものは電子で保存」「紙で受け取ったものは紙で保存」が基本ルール。
中小建設会社が最低限やるべき3つのこと
電子データの保存場所を決める
メールで受け取った請求書等をどこに保存するか決める。クラウドストレージ(Google Drive、Dropbox等)にフォルダを作るだけでもOK。
検索できるようにファイル名を統一する
ファイル名を「日付_取引先名_金額」で統一する。例: 20260318_ABC建設_500000円.pdf。これで検索要件を満たせる。
改ざん防止の措置を取る
事務処理規程(テンプレートあり)を作成して社内で運用する。または、タイムスタンプ機能付きのクラウドサービスを使う。
「事務処理規程 + クラウドストレージ」 の組み合わせが最もシンプル。事務処理規程は国税庁のサイトにテンプレートがあり、それをダウンロードして自社名を入れるだけ。クラウドストレージはGoogle DriveやDropboxの無料プランでOK。
追加費用ゼロで対応可能です。
電子帳簿保存法の3つの区分
| 区分 | 内容 | 対象 | 義務? |
|---|---|---|---|
| 電子帳簿保存 | 会計ソフトで作成した帳簿をデータで保存 | 会計ソフト利用者 | 任意 |
| スキャナ保存 | 紙の書類をスキャンして電子保存 | 紙の書類が多い会社 | 任意 |
| 電子取引データ保存 | 電子で受け取った書類を電子で保存 | 全事業者 | 義務 |
中小建設会社が必ず対応しなければならないのは「電子取引データ保存」のみ。他の2つは任意です。
建設業でよくある疑問
Q. FAXで受け取った書類は?
FAXで受け取った紙の書類は「紙の取引」扱いなので、従来通り紙で保存してOK。ただし、複合機がデータとして受信している場合は「電子取引」に該当する可能性があります。
Q. LINEやチャットで受け取った見積書は?
LINEやSlackで送られてきたPDFや画像も「電子取引」に該当します。データとして保存が必要です。
Q. 下請けが対応していない場合は?
相手の対応状況に関係なく、自社が電子で受け取ったデータは電子で保存する義務があります。
Q. 税務調査で何を見られる?
電子データが「検索できる状態」で保存されているかを確認されます。ファイル名の統一ルールが守られていれば問題ありません。
対応に使えるツール
無料で対応する場合
| ツール | 費用 | 方法 |
|---|---|---|
| Google Drive | 無料(15GB) | フォルダ分け + ファイル名ルール |
| Dropbox | 無料(2GB) | 同上 |
| 事務処理規程 | 無料 | 国税庁テンプレートをダウンロード |
専用ツールで対応する場合
| ツール | 月額 | 特徴 |
|---|---|---|
| freee会計 | 2,680円〜 | 電帳法対応の保存機能が標準搭載 |
| マネーフォワード クラウド | 2,980円〜 | 電帳法対応 + インボイス対応 |
| invox | 980円〜 | 電子取引データ保存に特化 |
いずれもデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の対象です。詳しくは「建設業のIT導入補助金活用ガイド」をご覧ください。
まとめ
電子帳簿保存法への対応は「やらなければならない義務」ですが、中小建設会社の場合はクラウドストレージ + ファイル名ルール + 事務処理規程の3点セットで対応可能。追加費用ゼロで今日から始められます。
参考情報
- 国税庁 電子帳簿保存法特設サイト — 電子帳簿保存法の最新情報・事務処理規程テンプレート
- デジタル化・AI導入補助金 公式サイト — 会計ソフト導入の補助金情報
よくある質問
- 電子帳簿保存法で建設業が対応すべきことは何ですか?
- メールやクラウドで受け取った請求書・見積書・注文書を電子データのまま保存することが義務化されています。紙に印刷して保存するのではなく、電子で受け取ったものは電子で保存する必要があります。
- 電子帳簿保存法への対応に費用はかかりますか?
- 最もシンプルな方法は事務処理規程(国税庁テンプレートを利用)とクラウドストレージ(Google DriveやDropbox無料プラン)の組み合わせで、追加費用ゼロで対応可能です。
- FAXで受け取った書類は電子保存が必要ですか?
- FAXで受け取った紙の書類は紙の取引扱いなので従来通り紙で保存してOKです。ただし、複合機がデータとして受信している場合は電子取引に該当する可能性があります。
- LINEで受け取った見積書も電子保存が必要ですか?
- はい、LINEやSlackで送られてきたPDFや画像も電子取引に該当するため、データとして保存する必要があります。
- 電子データの保存方法にルールはありますか?
- ファイル名を日付・取引先名・金額で統一し(例: 20260318_ABC建設_500000円.pdf)、検索できる状態で保存する必要があります。改ざん防止として事務処理規程の策定またはタイムスタンプの付与が必要です。
- 税務調査では何を確認されますか?
- 電子データが検索できる状態で保存されているかを確認されます。ファイル名の統一ルールが守られていれば問題ありません。
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