経営事項審査(経審)
けいえいじこうしんさ
経営事項審査とは
経営事項審査(略称:経審)とは、公共工事を直接請け負おうとする建設業者が受けなければならない、経営規模や技術力などに関する客観的な審査です。建設業法に基づく制度であり、審査結果の「総合評定値(P点)」は公共工事の入札参加資格の格付けに直結します。
なぜ重要か
公共工事の受注を目指す建設会社にとって、経審の評点は入札参加のランクを左右する決定的な指標です。評点が高ければ上位のランクに格付けされ、より大規模な工事の入札に参加できる機会が広がります。
経審の評点は、完成工事高や技術者数、財務状況といった企業の実力を多角的に評価した結果であるため、発注者だけでなく民間の取引先に対しても企業の信頼性を示す材料になります。
評点は毎年の審査で変動するため、経営者は中期的な視点で評点向上の戦略を立てる必要があります。技術者の資格取得支援やCCUS活用、財務体質の改善など、日常の経営判断が評点に反映されるという認識が重要です。
具体的な内容・仕組み
経審の総合評定値(P点)は、X1(経営規模)、X2(経営規模)、Y(経営状況)、Z(技術力)、W(社会性等)の5つの審査項目を所定の計算式で算出します。
X1は完成工事高の規模を、X2は自己資本額と利払前税引前償却前利益を評価します。Yは経営状況分析機関による財務諸表の分析結果で、負債抵抗力や収益性、活動性など8つの指標で判定されます。
Zは技術力の評価で、業種ごとの技術職員数と元請完成工事高が対象です。1級施工管理技士などの上位資格保有者ほど高い点数が付与されます。Wは社会性等の評価で、労働福祉の状況、建設業の営業継続年数、防災活動への貢献、CCUS活用状況などが加点・減点の対象になります。
経審の有効期間は審査基準日(直前の事業年度の終了日)から1年7か月です。公共工事の受注を継続するには、毎年切れ目なく経審を受けて有効な結果通知書を保持する必要があります。
中小建設会社への影響
中小建設会社では、完成工事高や技術者数の規模で大手に比肩することは難しいため、W評点(社会性等)やY評点(経営状況)での加点戦略が特に重要になります。CCUS活用やISO認証の取得、建設機械の保有、防災協定の締結など、自社でコントロールしやすい項目で着実に加点を積み上げることが有効です。
経審対策は一朝一夕にはできないため、決算期の数か月前から計画的に取り組む姿勢が求められます。技術者の資格取得計画を経審のスケジュールに合わせて設定したり、完成工事高の業種振り分けを適切に行ったりすることで、自社の実力を正確に評点に反映させることが可能です。建設業に精通した行政書士や経営コンサルタントのサポートを受けることも、評点向上の近道になるでしょう。
よくある質問
経審を受けないと公共工事はできませんか?
元請として公共工事を直接請け負う場合は、有効な経審の結果通知書が必要です。ただし、下請として公共工事に参加する場合は経審を受ける必要はありません。
経審の評点を上げるにはどうすればよいですか?
技術者の資格取得推進、CCUS活用、社会保険の完備、財務状況の改善、防災活動への参加など、複数の項目で加点を積み重ねることが効果的です。自社の現状の評点内訳を分析し、改善余地の大きい項目から優先的に取り組むのがおすすめです。
経審はどこに申請すればよいですか?
知事許可業者は主たる営業所の所在地を管轄する都道府県に、大臣許可業者は地方整備局に申請します。申請に先立ち、登録経営状況分析機関による経営状況分析(Y評点の算出)を受ける必要があります。